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2019.06.16 Sunday 08:07

2019長野子ども白書



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1. 「子どもを性被害から守る条例」って ?
長野県が作成したパンフレットには、子どもを性被 害から守るために「予防のための教育・被害者支援・ 県民運動の推進・規制により子どもを性被害から守る ための取り組みと書かれています。 子どもの性被害とは......1子ども(18 歳未満)に対 する性行為等の禁止(威迫、欺き、困惑させることな どによる性行為・わいせつな行為)2深夜(11 時か ら翌日 4 時まで)子どもを連れだすこと等の禁止 と 条例に定められています。 長野県は全国でも唯一、青少年保護育成条例で処罰 規定がない県でした。県民の中からは青少年の健全な 育成を図るために何度か処罰の規定を作った方が良い という意見が出されましたが、処罰するのではなく、 県民運動で進めようと条例を作らないできました。 全国で作られ長野県が最後に残ってしまったこと、 SNS を通じた性犯罪が頻繁におこる現状で、長野県 も作らざるを得ない状況に追い込まれたのです。

2. 条例ができるまでに仲間と取り組んだこと

1 2015 年(平成 27 年)阿部知事は一年間かけて県内 さまざまな場所でのタウンミーテイングで県民の声を 聞く場所を提供しました。私が所属している“人間と 性”教育研究協議会長野サークルでも、タウンミー ティングに仲間と手分けをして出席し、学校で行われ ている性教育の実態や子どもの様子・学校で教師が 困っていることなどを訴えました。

2学校の「性教育の充実」をパンフレットの中に盛り 込んでほしいと強く訴えました。 当初出された条例文には「性教育」という文言が記 されていませんでした。再三にわたり訴え、平成 28 年 11 月 1 日に公布された条例文には「学校における 人権教育や性教育(性に関する指導)を充実させると ともに......」という文言が入りました。

3 2018年の8月 4・5・6日に“人間と性”教育研究 協議会の夏期セミナーが、長野市で 3 日間にわたり開かれました。長野サークルが誕生して 30 年で実践集 も作り、長野県の性教育の取り組みを宣伝しました。 実践集の題は『すべての人に性の学びを〜こんな取り 組みをしてきました長野版 2018 〜』です。

4退職した養護教諭の仲間が県内で要望のある小・ 中・高校に授業に入る取り組みもしてきました。 始めは講演という形をとっていましたが、各クラスに 入って授業する形に変えました。授業だと生徒の表情 もわかり、グループで話し合う活動を入れたりしなが ら、生徒が性を自分のこととして考えられる授業にな るようにしていき易いからです。

5県では、教職員対象の研修をするために性教育をす る講師の名簿作りが進みました。仲間も進んで名簿に 名前を挙げ、講師として参加できるようにしました。 研修を受けた参加者からは「忙しい日々の勤務の中 で、講師が学校に来てくれて研修ができることがすご く良いので、対象が 10 校だけになっていますが、来 年度からはもっと増やしてもらえるとありがたいです」 という声が聞かれました。次年度は 10 校より増えそ うです。

3. いつでも子どもの実態からスタートする性教育
生徒に好評だった授業の中身を紹介しましょう! 高校 1 年生の授業です。テーマは『これからも自分 らしく生きていくために、いま考えたいこと』。この 授業のねらいは、「性交のマイナスイメージを払拭す ることです。 1「君たちの誕生日を聞きますから、自分の誕生月に 手を挙げてください」 ほとんどの月でみんなが手を挙げましたね。というこ とはいつでも出産しているということです。動物は生 まれた子が育っていくのに適した時期に出産します。 その時期に出産できるように交尾をするのです。 2「では人はどうだろう ?」と問いかけます。 人は大概、一回の出産で一人の子どもを産みます。 一度出産に失敗してしまうとまた 280 日待たなければ なりませんから、合理的に子どもを産めるように発情 期をなくしていつでも性交ができるように、子どもを 作れるように進化してきたのです。 『なぜヒトの性だけ複雑になったのか』(河出書房新 社 大島清著 13ページ 14ページ)の資料を読みます。 3黒板に長い人生テープを貼ります。0 才から 100 歳 までの数字が書かれた人生テープです。 自分の人生を生徒にイメージさせます。8 枚の触 れ合っている写真を貼っ ていきます。貼られた写 真 を見 ながら気 づいたこ とを出します。始めは親 子だったのに兄弟(姉妹) になり友達、恋人、夫婦と変わっていくので身内か ら他人に広がっていくと 生徒が気づきます。

4「なぜ相手が変わって いくのか? と質問します。 人生テープと一緒に月 経がある期間の赤いテー プと射精がある期間の青 いテープの説明も加えま すと「 子 どもを産 むため に相手が変わっていく」 と納得します。事前にふ れあいアンケートを取っ てありますから合 わせて 考えると触れ合うと気持 ちが良かったり安心した りすることを自分の体の 実感として生徒は納得し ていきます。

5「どうして人はふれあいたいのか」
子宮の中の胎児の絵を見ながら説明します。皮膚は 「記憶する袋]とも言われ胎児の時に体中が子宮壁に密着していた心地良さを皮膚が覚え
ているのです。
さらに「卵もさびしかった」の文を 読みます。(『君たちは性をどう考える か』 奥田継夫著筑摩書房 13ページ14ページ) 人が触れ合うことにすごい力があ るとわかりマイナスイメージが変わ
ります。

6性交することのリスクは何だろう ?
動物のように発情期がない人間はいつでも性交がで きるわけですが、困ることはないだろうか ? 生徒が考 えられることを学習カードに書いてもらいます。ここ では思いがけない妊娠と性感染症について考えさせま した。

7最後に
「セルフプレジャー」について説明します。 今までは「マスターベーション」とか「自慰」「オ ナニー」と言っていました。セルフプレジャーは最新 の言葉と伝えます。日本語では「自体愛」で、「自分 の体を自分で愛する」という意味になります。自分の 体ですから自分の体の調子に合わせていくらでもして よい行為です。合わせてセルフプレジャーのメリット も伝えます。

8こんな授業を受けた生徒の感想は、私たちの取り組 みを背中から押し出してくれるような元気の出るもの でした。 「今の日本では性のことはタブー視されているよう な感覚があったので今回の授業で包み隠さず聞けて良 かった。でももっと小さい頃から正しい知識をつけて いけるような社会なら性犯罪も減るのかなとも思いま した」 「性交は性感染症とかで良いイメージはないけど、 子孫を残したりコミュニケーションをとるうえで大事 なこともあると思った」 この生徒へ講師からの返事は [「人との触れ合いは 性交のみにとらわれず見つめあう、手をつなぐ、いっ ぱい話すなど、触れ合うことはいろいろな場面ででき ますね」と返しました。

4. 今後の課題
仲間と共に学校に出向いて性教育の授業をさらに広めていきたいと思います。だんだんと、性被害を予防していくための性教育ではなく、どの年代でも広く性を学んでいかれる包括的な性教育で、みんなが幸せに暮らしていかれる社会づくりに広がる性教育にしていきたいです。

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